特集!「キリムの選び方」



 「キリムについて」などと解説するのはやめておきます。すでにキリムをご存知の方を前提にお話をさせて頂きます。
 最初に言っておきますが、キリムには定価がないので輸入業者が値付けをします。単純に仕入れ値を掛けて販売されている業者もあるでしょうが、専門業者には多分に商品への思い入れがあります。イスタンブルの卸しから買ったもの、足を運んで遊牧民から直接買い付けたもの、思いがけず安く手に入ったもの、新しいもの、古いもの、それが高いか安いか、そのキリムを買うお客様の目利きが大切と存じます。
 お客様が値段を付ければ良いと思います。業者がその指値で売らないのなら買わない。
 自信のない方は購入を我慢されたほうが賢明と存じます。
 しかし、点数を見るうち目は必ず肥えてきます。そして、自分の好きなキリムが分かってくる筈です。機会に触れ色々な業者のものを実際に目で見て確かめることが肝心と思います。
 キリムは高価なゆえ販売業者のなかには利益を求め、ごく一部ですが詐欺まがいの行為も見受けられます。イスタンブルの路地裏では、わりに新しいキリムを天日干しにして叩いているのを見かけたりします。その荒さは明らかに洗濯後ではありません。オールドに見せかけるために他にも色々な方法があります。
 私の考えとしてですが、「近年のキリムの販売量からオールドと呼ばれる年代の生産量が見合ったものか?」イタリアの「オリーブオイルの輸出量が生産量より多い」こんなような話しです。ヨーロッパには日本より格段に多いコレクターが存在します。「よいアンティ−クはトルコ国内にはすでに存在しない」とまで言う人もいるぐらい。アンティークの流失はすでに終わっています。数少ないこれらを採集するため日本のキリム業者も大変苦労しているところです。
 近年では日本のあちこちの街でキリムが売られています。片手間にやっている店や専門のキリム屋。国内のキリム屋も個性の時代に入ってきています。当バザールの品揃えとしてアナトリア東部のものを中心に、私の好きなジジム織りを中心に扱っていく所存でございます。

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